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2017年6月 5日 (月)

強風に耐え、その威厳を放つ「孤高のブナ」 人間の英知が問われている

本日は6月4日(日)、天候は快晴ですが、“みちくさ”周辺は冷たい風が吹く1日となりました。

足尾ダムに続く道路脇ではニセアカシアの花が満開です。森の恵みを提供してくれる樹木です。蜂が花粉を採取し私たち人間にハチミツを提供してくれます。

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今日は中倉山の「孤高のブナ」調査も行われました。

去る4月29日「孤高のブナ」を保護するために、根の上にあった登山道を迂回していただくためのロープを張りました。まだ芽吹く前でしたので、その後の生長と松木側斜面の土の流出状況を確認するために、清水さん、岡部さん、福原さんが中倉山を目指しました。

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今回は、尾根コースで登りました。8時に登山開始。黄色い花の咲くエニシダが咲き誇っています。見晴らしが良く、足尾の山々を眺めながらの登山です。森に入るとエゾハルゼミと仁田元沢のカエル、小鳥たちの合唱で迎えてくれました。

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“みちくさ”をベースキャンプに舎人当番の仁平さんと連絡を取り合いながら中倉山を目指し、「孤高のブナ」には10時到着。山頂は松木川側から強風が吹き、ブナの木は激しく枝葉を揺らしていました。観察すると、風を受ける側の葉は水分を飛ばされ茶色に変色しています。風が抜ける南側の葉は太陽の光を浴び青々と輝いています。

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根の状態を見ると、南側は迂回のためのロープ沿いに新たな登山道が出来、以前の登山道には笹が生え緑が回復しています。感動です。直接踏まれることがなくなったおかげです。登山者の皆さんご協力ありがとうございます。

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反対の松木側斜面は土砂流出は止まらないようで根が地上に露出しています。土の流出を防ぐ手立てをしなければ、煙害に耐え100年以上生き抜くブナを守ることはできません。枝葉が強風にあおられる様を見たときに、亜硫酸ガスによって周りの木々が枯れていく様子が重なり、大地に必死に根を張り生き抜こうとするブナの気持ちはいかほどのものかと皆、心が痛くなりました。

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尾根に立っていると飛ばされそうな強風と寒さにより調査を切り上げ10時20分に下山を開始し登山口に11時40分に無事到着しました。

 

“みちくさ”では、ちょうど12時頃に中倉山から下りてきたメンバーと今日最初の訪問者の塚原さんが同時に来てくれました。塚原さん手作りの料理をいただきにぎやかな昼食となりました。

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午後になり2組目の森ともは、折りたたみ自転車で松木川散策をしている宇都宮在住の3名の皆さんです。“森ともの声ノート”には「とても美しい景色!感動しました。」と書いてくれました。

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3組目の森ともは、岩登り帰りの3人組です。松木渓谷の沢をめぐり岩登りを楽しんできたそうです。安全第一の岩登りのためには技術と道具がしっかりしていなければなりません。腰に付けた装備品の話で盛り上がりました。

 

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4組目の森ともは、大型犬(名前はフラン)と一緒に松木川散策を楽しむお二人です。

ちょっと怪我をしたとのことですが楽しくじゃれあっていました。

 

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 最後に立ち寄ってくれたのは東京北区から松木を訪れた男性です。沢登りの帰りで、経験豊富な様子でした。

 

 今日は多くの森ともの皆さんが“みちくさ”を訪問してくれました。先人の努力によって足尾の山々に緑がよみがえっています。しかし、中倉山から眺める松木渓谷の斜面はまだまだ「崩壊地」が広がっています。

 

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今また気候変動による大雨や温暖化によって「孤高のブナ」には二度目の危機が訪れています。私たち森びとは地球温暖化を防止しようと、二酸化炭素を吸収してくれる木を植え、足尾での森づくりは13年となります。6月1日、驚いたことに米国トランプ大統領は地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」からの離脱を表明しました。自分の支持者と自国の経済的利益を優先し、地球上の生物の生命に責任を持たぬ姿勢に「孤高のブナ」は枝葉を揺らし怒りの叫び声をあげています。

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人類の英知が試されています。私たち森びとは地球温暖化防止に向け、原発に頼らないエコな暮らしを考え、山と心に木を植え続けます。

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(舎人:仁平範義、岡部浩之  本日の放射線量 0.134μsv/h)

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